前回まではアメリカ代表とオーストラリア代表に共通する強みおよび弱みについて話していきました。
今回はアメリカ代表固有の課題について話していきたいと思います。
欧州で活躍する豊富な若手、メッシを迎えてさらに盛り上がる国内リーグMLS、そして2年後の北中米W杯…。アメリカは確かに十分なポテンシャルを持っていると言えるでしょう。
ただ一つ圧倒的に足りないのは「経験」になってくるのではないかなと思います。
今のアメリカ代表はチームの平均年齢が低い非常に若手中心のチームとなっていますが、それは裏を返せば模範や精神的支柱となることの多いベテランがいないということです。
国際大会で結果を残すには当然技術だけでなく後がない負けたら終わりの試合で勝ちぬくチームとしてのメンタルも非常に重要になってくると思います。
前回の「スター選手の不在」という課題とも合わせて、やはり今のアメリカを見てるとそのような精神的支柱となる選手がいないなと感じます(昔のドノヴァンみたいな感じの選手でしょうか)。
おそらくそこで候補として挙がってくるのは代表の10番を背負い、キャプテンを担うミランのプリシッチ選手になってくると思います。私も個人的に彼かなと思います。
とはいってもまだそれには1歩及ばないかなと感じます。
もちろん彼は前回のワールドカップで北中米予選から活躍してチームを勝利に導き、本大会でもグループリーグ突破がかかったイラン戦で決勝ゴールをマークするなどアメリカを幾度も救ってきたことは確かです。
クラブの方でもミランというビッククラブで得点とアシストを量産し活躍は十分でしょう。
しかし決してフィニッシャーのようなタイプではないこと、そして彼も25でまだまだ若いこと、そしてなまじ他のアメリカの選手も優秀であるため代表で群を抜いているとまでは言えないことから、彼はまだまだ「スター」に及ばないと思います。
ただ今の活躍を続けてくれれば十分、というかほぼ確実にその領域にたどり着くと思います。
また、チーム全体の経験に関していえば実はアメリカ代表はあまり強豪国相手に勝利したことがありません。そういう弱さもあります。
確かに北中米予選敗退となり出場できなかったロシアW杯を除き、カタール、ブラジルそして南アフリカ大会ではいずれもベスト16に食い込むなど実力は確かでしょう。
しかしそこでいわゆる強豪国と言われる国に対しては引き分けあるいは敗れています。
※参考
1-1イングランド
2-2スロベニア
1-0アルジェリア
1-2(延長)ガーナ
ブラジル
2-1ガーナ
2-2ポルトガル
0-1ドイツ
1-2(延長)ベルギー
1-1ウェールズ
0-0イングランド
1-0イラン
1-3オランダ
さらに直近で言えば10月に行われたドイツ代表との親善試合でも1-3で敗れています(ちなみにこの試合のプリシッチの先制弾はえぐいので必見です)。
そのためアメリカとしてはそのような国に勝つ経験を何としてもW杯前にしておくべきだと思います。
その点で注目すべきなのは6,7月に開催されるコパ・アメリカです。グループリーグではウルグアイと同組となっており、どこまで勝ち上がれるか非常に楽しみです。
また、今大会はアメリカ開催となっているため、大会が国内でどれくらい盛り上がるか、その点にも注目していきたいと思います。
今回はアメリカ代表の課題として「経験」という点を話していきました。
弱点の話をしましたが逆に言えばW杯までの残り2年間で個人としても代表としてもう経験を積んでいけばさらに化ける可能性は大いにあると思います。
次回はオーストラリア代表の課題について話していきたいと思います。